主な腰椎疾患

A.腰痛症

B.坐骨神経痛

C.変形性脊椎症

D.腰椎分離・辷り症

E.腰椎椎間板ヘルニア

F.腰部脊柱管狭窄症

G.脊椎骨粗鬆症・椎体圧迫骨折

H.脊椎側彎症

 上記A~Hの疾患は重複することが多々あり、相互に関係し合っています。同じ病名でも、その症状は全く同じになることは稀です。
以下に個々の疾患について発症の特徴を示します。

1. 好発年齢  
   20歳以下 :D
   20歳以上 :A
   65歳以上 :C
2. 性別  
   男性に多い :E
   女性に多い :G
3. 発症形態
   急性 :E
   慢性 :F H
4. 下肢の痛みや痺れを症状とする :D E F

腰椎の解剖 

 背骨(椎骨)からなる脊椎(脊柱)にかかる衝撃は、椎骨の間にある軟骨でできた椎間板によって吸収されます。軟骨の 薄い層に覆われた椎骨は、靭帯(じんたい)と筋肉に支えられて脊椎をしっかり安定させています。これらの筋肉には、脊椎の両側に沿って続く2本の腸腰筋、 脊椎の後ろ側で全長に沿って続く長い2本の脊柱起立筋、椎骨と椎骨の間をつなぐ多くの短い傍脊椎筋があります。胸郭の一番下から骨盤へ続く腹筋も、脊椎の 安定に役立っています。
 脊椎の中には、脊髄(せきずい)が収容されています。脊髄神経は、脊髄に沿って椎骨のすき間から出て全身の神経とつながっています。脊髄神経根と呼ばれる脊髄神経の一部は脊髄に最も近い場所にあるために、脊椎が損傷すると圧迫されて痛みをもたらします。
 5個の椎骨で構成されている腰椎は、胸部と骨盤および下肢を連結しており、これによって体を回す、ねじる、曲げるなどの動作を可能にしています。それは立つ、歩く、ものを持ち上げるといった動作のための強度も生み出します。このように腰はほとんどあらゆる日常動作にかかわっているため、腰痛があると多くの日常活動が制限され生活の質が低下します。