一般社団法人日本臨床整形外科学会(JCOA)のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
 私たちは、整形外科を主に標榜し、皆様といつも身近に接している私立病院やクリニックの医師を主体とする団体で、日本全国に約6,000名の会員がいます。
 整形外科とは、体を動かすための運動器(骨・筋肉・関節・靭帯・神経など)の疾患を扱います。具体的には、骨折・脱臼・捻挫などの外傷、スポーツ障害、加齢に伴う変性疾患、関節リウマチを含めた炎症性疾患、脊椎・脊髄疾患、幼少児の先天性疾患、骨軟部腫瘍や骨粗鬆症に代表される骨代謝性疾患などを診察しており、子供から高齢者まで、他の診療科と比べて多くの病気や怪我を扱っています。
 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、病気や怪我等で自覚症状のある人の割合(有訴率)は、男性の 1 位が腰痛、3 位が手足の関節痛、女性の 1 位が腰痛、2位が 手足の関節痛というように、病院や診療所を受診された患者さんが訴える症状の大部分は整形外科に関係しています。
 日本は既に、超高齢化時代に突入し、平成29年の国立社会保障・人口問題研究所の資料によると総人口に占める65歳以上の割合は27.7%であり、70歳以上では19.9%となっています。また同時に少子化が進んでおり、65歳以上の高齢者1 人を、2025年は1.8 人、2060年には1.2 人の 若者が支えることになります。
 平均寿命は男性では81.09歳、女性では87.26歳と延びていますが、元気で動けることすなわち、健康寿命の延伸が重要です。高齢になっても元気で動けることが、社会に必要とされています。
健康寿命の延伸に何が大切かと言えば、高齢者を元気にするためには医療、特に整形外科の力が発揮されるべきと考えます。 2007 年に公益社団法人日本整形外科学会は、ロコモティブ・シンドローム(略してロコモ)という言葉を提唱し、国民の皆様に運動器の重要性を訴えています。
 2012年には、 国民の皆様の健康に対する厚労省の方針として、「健康日本21」の中にロコモという言葉の普及率を上げる政策が盛り込まれました。
 ロコモとは、「加齢により移動能力の低下を来し、要支援・要介護になる危険のある状態」を言います。ロコモにならないようにするには、毎日の運動習慣を身に着けることが肝要です。体幹や下肢の衰えを早期に発見し、早期に運動していくことは、骨粗鬆症は勿論、今問題になっている認知症や糖尿病の予防にもつながります。
 高齢社会になっているので、高齢者に注目が集まりがちですが、子供たちの運動器にも異変が生じています。1970年頃に比し、学校におけるケガや骨折は3倍近くになっています。少し転んだだけでも骨折してしまう、転ぶ時手が出ず、顔面から転んでしまうなど今までは考えられなかったケガが子供たちに増えています。
 平成28年度から学校保健における運動器検診が始まりました。未来を支える子供たちの運動器の健康にも注意を払っております。私たちJCOAの会員は、全国におりますので、手足腰など運動器の悩みがあれば、子供でも高齢者でもぜひご相談ください。

                     一般社団法人日本臨床整形外科学会
                           理事長  新井 貞男