平成14年度改定整形外科減収シュミレーション(中医協案)
長島公之
平成14年度社会保険診療報酬等の改定概要(中医協答申)に対する整形外科の代表的疾患減収シミュレーション
中医協全文は以下である。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2002/02/tp0222-1.html
試算の内容
再診料・消炎鎮痛処置の逓減制、介達牽引・理学療法の減額、その他、外来で行われる行為の減額による収入減少を、整形外科の代表的疾患で試算した。
(1)外来患者の大部分を占める慢性疼痛疾患
日本整形外科学会理学診療委員会の「骨関節疾患に対する保存療法(理学療法、作業療法、物理療法)の実態調査報告」のデータから、整形外科外来で最も多いパターンとして、以下の状態を想定した。
【疾患】脊椎疾患、腰痛症、変形性膝関節症、肩関節周囲炎
(新設された「慢性疼痛疾患管理料」の対象疾患)
【治療】消炎鎮痛処置、介達牽引、理学療法4(簡単)
【施行回数】月12回
(A)「慢性疼痛疾患管理料」を算定した場合(消炎鎮痛処置や理学療法4が包括される)
(B)「慢性疼痛疾患管理料」を算定しない場合
【結果】
減少する点数 現在 改正案
A B A B
消炎鎮痛処置 616 466 1308 →692 842
介達牽引 700 550 1392 →692 842
理学療法4(簡単) 976 826 1668 →692 842
患者100人(消炎鎮痛処置60%、介達牽引20%、理学療法20% の割合とすると)につき、55万~70万円の減収となる。
(2)その他の疾患の場合
・腰痛症、変形性膝関節症などで、装具をつくる時の採型ギプス
点数減少 900点 (現在1100→ 改定案200)
・腰痛症、脊椎疾患に、コルセットを処方した時
点数減少 40点 (現在220→ 改定案180)
・アキレス腱断裂で、ギプス固定を行った時
最初、大腿~足のギプス、2週間後に、膝下~足のギプスに巻きかえ
点数減少 336点 (現在2316→ 改定案1980)
・腰椎椎間板ヘルニアで、躯幹MRI検査施行
点数減少 560点 (現在1780→ 改定案1220)
●診療報酬改定による収入減少試算アンケートの結果
(14年2月26日午後1時30分現在)
日本臨床整形外科医会のメーリングリスト参加者から2月24日―26日にわたり、アンケートをネット上で行った。60施設より協力が得られた。
総数 60 施設
(内訳 無床診療所:47 有床診療所:10 病院200未満:3)
1か月の総売り上げの試算
平均 最小~最大
総売り上げ 1203万円 (300万~7000万)
売り上げ減少
予想額 165万円 ( 30万~1000万)
減収の割合 15.6% (3.2%~83.3%)
●参考文献
科別の収入構造の特徴
●診療行為別点数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa00/kekka-1a.html(リンク切れ 2021.7.10)
全科では初診再診料が、19.6%、指導管理料が11.3%。検査が14.7%
画像診断料が5.9%。投薬が26%。注射が4.3%。処置が8.5%
●「病院診療科別原価計算調査」結果の概要(全国自治体病院統計)
http://www.jmha.or.jp/about/active/statis/10/gaiyou_y11.htm (リンク切れ 2021.7.10)
内科(診療科数468)
医業費用は127,101千円であり、そのうち、給与費59,349千円(医師給与10.8%、看護職員給与23.9%、その他の職員給与12.1%、材料費42,827千円(薬品費32,652千円、うち投薬薬品費13.1%、注射薬品費9.1%)、医業収支差額は△6,145千円であり、医業収益100対医業収支差額は△5.1となっている。
整形外科(診療科数390)
医業費用は48,642千円であり、そのうち、給与費27,431千円(医師給与11.2%、看護職員給与29.9%、その他の職員給与15.1%)、材料費11,745千円(薬品費6,846千円、うち投薬薬品費7.1%、注射薬品費5.5%)、医業収支差額は△2,336千円であり、医業収益100対医業収支差額は△5.0となっている。
http://www.jmha.or.jp/about/active/statis/10/images/hiyou_naika.gif (リンク切れ 2021.7.10)
内科
http://www.jmha.or.jp/about/active/statis/10/images/hiyou_seikeigeka.gif (リンク切れ 2021.7.10)
整形外科
整形外科は内科に比べ、薬剤比率が少ない。職員が多い。材料費もかかっている。
http://www.urban.ne.jp/home/motohide/iroyu.htm (リンク切れ 2021.7.10)
診療科別コンサルティングのポイント
内科
1)外来患者の中に初診患者の占める割合が他の科に比べて低い。
内科:全科 = 80:100
2)1日外来患者数が他の科に比べて少ない。
内科:全科 = 89:100
3)1人1日当たりの保険診療収入は他の科に比べて高い。
内科:全科 = 115:100
4)給与費は他の科に比べてやや低い。
内科:全科 = 94:100
5)医薬品費の割合が高い。
内科:全科 = 116:100
整形外科
リハビリを目的に通院する患者が多い。これらの患者の保険点数は、1日につき再診療(61点)とリハビリ(理学療法で65点、消炎鎮痛処理で35~40点)を合わせて96~126点となる。
1日1人当たりの保険収入では、全科平均4,075円に比べ整形外科では、2,460円とかなり低い。そのため増患対策が経営のポイントとなる。
経営について
http://health.nikkei.co.jp/byoin/management.cfm (リンク切れ 2021.7.10)
トヨムラエンタープライズ / コンサルタント
http://www.medical-japan.com/consultant/stats.html (リンク切れ 2021.7.10)
医師の収入