一般社団法人日本臨床整形外科学会(JCOA)のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
 私たちは整形外科を主に標榜し、皆様といつも身近に接している私立病院やクリニックの医師を主体とする団体で、全国47各都道府県に支部を有し、約5,600名の会員がいます。
 整形外科とは、体を動かすための運動器(骨・筋肉・関節・靭帯・神経など)の疾患を扱います。具体的には、骨折・脱臼・捻挫などの外傷、スポーツ障害、加齢に伴う変性疾患、関節リウマチを含めた炎症性疾患、脊椎・脊髄疾患、幼少児の先天性疾患、骨軟部腫瘍や骨粗鬆症に代表される骨代謝性疾患などを診察しており、子どもから高齢者まで、他の診療科と比べて多くの病気や怪我を扱っています。
 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、病気や怪我等で自覚症状のある人の割合(有訴率)は、男女ともに 1 位が腰痛、2 位が肩こりであり、病院や診療所を受診された患者さんが訴える症状の大部分は整形外科に関係しています。
 日本は既に、超高齢社会に突入し、令和5年の総務省の資料によると総人口に占める65歳以上の割合は29.1%であり、75歳以上が2,000万人を超えています。また同時に少子化が進んでおり、65歳以上の高齢者1 人を、2025年は1.8 人、2060年には1.2 人の 若者が支えることになります。
 平均寿命は男性では81.05歳、女性では87.09歳と男女ともに延びていますが、元気で動けること、すなわち、健康寿命の延伸が重要です。高齢になっても元気で動けることが、社会に必要とされています。
健康寿命の延伸に何が大切かと言えば、高齢者を元気にするための医療、特に整形外科の力が発揮されるべきと考えます。 2007年に公益社団法人日本整形外科学会は、ロコモティブ・シンドローム(略してロコモ)を提唱し、国民の皆様に運動器の重要性を訴えています。
ロコモとは、「加齢により移動能力の低下を来し、要支援・要介護になる危険のある状態」を言います。ロコモにならないようにするには、毎日の運動習慣を身に着けることが肝要です。体幹や下肢の衰えを早期に発見し、早期に運動していくことは、骨粗鬆症は勿論、今問題になっている認知症や糖尿病の予防にもつながります。
 2012年には国民の皆様の健康に対する厚労省の方針として、「健康日本21」(第2次)の中にロコモの認知度を上げる政策が盛り込まれ、続いて2024年からの「健康日本21」(第3次)では、ロコモの減少を目標として「足腰に痛みの高齢者の人数」を指標とし、その数の減少をめざすこととされました。
 超高齢社会になっているので、高齢者に注目が集まりがちですが、子どもたちの運動器にも異変が生じています。1970年頃に比し、学校におけるケガや骨折は3倍近くになっています。少し転んだだけでも骨折してしまう、転ぶ時手が出ず、顔面から転んでしまうなど今までは考えられなかったケガが子どもたちに増えています。
 平成28年度から学校保健における運動器検診が始まりました。未来を支える子どもたちの運動器の健康にも注意を払っております。
私たちJCOAの会員は、全国各地にて診療していますので、手・足・腰など運動器の悩みがあれば、子どもから高齢者までぜひご相談ください。

                     

一般社団法人日本臨床整形外科学会
理事長  長谷川 利雄