混合診療阻止の署名運動に思う
藤田整形外科医院 藤田芳憲
昨年の秋、小泉総理が2度にわたる混合診療の解禁の年内取りまとめを規制改革・民間解放推進会議及び担当大臣に指示したため、国民医療の危機を強く感じた日医を始め医療業界が慌しく対応する状況になりました。
その対抗策として、国民運動とするべく国民医療推進協議会が設立され、日医を中心としてJCOAも協力をして、数多の地域集会と署名活動により、医療改悪阻止を図りました。600万人分の署名により、武見・西島両参議院議員が中心となって、衆参両議員議長宛に国民皆保険制度堅持・混合診療導入反対の請願が8割の与党議員の紹介と共に提出され、全会一致で採択されました。その結果、混合診療解禁法案の国会通過は不可能と判断した村上内閣府特命大臣と尾辻厚生労働大臣の間で、混合診療問題の基本合意がなされました。
しかし、その合意内容に目を移しますと、特定療養費制度の柔軟な活用一つとっても、実際の診療行為には、今後も多くの折衝が必要であり、中医協の解体と有識者会議の新設、軽医療の保険はずしなど、規制改革・民間解放推進会議の医療改悪の攻撃は後を絶たないことが予想されます。
もし署名が思ったように集まらず議員の理解が得られず全会一致の請願が得られなかったならば、規制改革・民間解放推進会議が勢いを増し、医療が市民権を放棄する事態に直面して行く事は間違いありませんでした。当面の国民医療危機が回避されたと言っても良いかと思われます。
やるべき時にしっかり団結し、アンケート調査でのデータに基づく説得力のある主張や患者さんに理解を戴く署名活動、数々の医政活動を通して、我々医療者の声を国政に反映させる事は、今後さらに重要な運動になるでしょう。今回の署名活動が一定の効を奏したことに御理解を戴き、国民へのより良い医療提供の目的の為、会員や国民の益々のご理解とご協力をお願いしたいと思います。