国民を守るために、代替医療の科学的評価を

長島整形外科 長島公之


 テレビのワイドショー、週刊誌、健康雑誌などで、毎日のように、さまざまな健康食品や民間療法などの「代替医療」が取り上げられています。その中には、医学的常識から見て、かえって体に害がある、あるいは、効果がないのに法外に高価であると思われるものも少なくありません。しかし、マスコミで伝えられると、頭から信用してしまう人も多いようです。その結果、一部の代替医療による健康被害、金銭的な被害が起こっています。

 このような状況に対し、今までは、日本の医療界は、不快感は抱きながらも、「無視」をする態度をとってきました。しかし、これからは、国民を被害から守るために、きちんと対処すべきだと思います。例えば、米国医師会では、昔から、健康詐欺やいかさま医療に関する調査を行い、医師、マスコミ、一般大衆からの疑問に答えてきました。また、「医師として何を推薦できるのか」「何が有効で何が怪しいのか」との視点から、代替医療を医学的、科学的に検証した本も出しています。米国の国立衛生研究所の中には、代替医療部門が設立され、科学的な評価を行っています。

 日本でも、国民を被害から守るため、代替医療を科学的に評価し、その情報を医師や国民に知らせる活動を、日本医師会が協力し、厚生省や各学会で行う必要があると思います。