上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)
はじめに
体の中で、日常よく使われるのが上肢であり、そのうち肘外側の疼痛を通称テニス肘と呼んでおります。
テニスのストローク、特にバックハンドのストロークのときに痛くなるものです。
病名からは、ほとんどテニスのやりすぎで起こると思われがちですが、テニスが原因となるのは1割弱といわれています。
原因と症状
テニスのバックハンドのストロークではラケットの裏面で球を打つため、手首の親指側に衝撃が伝わります。このとき、手首をそらす筋肉が働き、その付着部が上腕骨外側上顆(肘の外側の骨の飛び出た部分)です。繰り返すストレスで、付着部に炎症が起こり、肘の外側に激痛が起こります。
青壮年期に好発し、利き手側の発生頻度が高いのが特徴です。多くの場合、手や腕を使用しなければ、疼痛は起こりません。重い物を持ったり、仕事で手を使いすぎたりすることによって起こります。
診断
患者さんの手をそらすように指示し、その手の甲に医師が抵抗を加えていくと、肘の外側に激痛が生じますので、診断は容易です。例えば、片手でビール瓶を持って注ぐときに疼痛が生じます。
タオルがしぼれない、ほうきや掃除機が使えないなども、よく聞く訴えです。痛みのため、物を取り落とすこともあります。よく似た症状を起こす変形性肘関節症などがありますので、医療機関での診断が重要です。
治療
治療には手の安静が一番大切です。仕事で手を使わざるを得ない人は安静が保てず、治療が難渋することがあります。
原則は痛みが発生する動作を避けることが基本になります。痛くないもう一方の手を使うか、痛みのある方を使うときは、痛みの出ないように違う方法で使うとよいでしょう。
病院での治療としては、消炎鎮痛剤の服用や湿布などの外用剤も有効です。また、理学療法も効果があります。それでも、効果がなければ、ステロイドの局所注射が有効です。
装具としてはエルボーバンドで前腕を肘の少し先に締め付けると効果があります。重症の場合はギプス療法を行うこともあります。保存療法が原則でありますが、まれに手術療法を考慮する場合があります。いずれにしても、肘の疼痛を生じたら、早めに整形外科専門医の診察を受けましょう。