モートン病
モートン病は、中足部より足趾に及ぶ神経痛様の疼痛と知覚障害が生じる疾患です。その病態は第3・4趾間のMTP関節レベルでの趾神経の肥厚や神経腫です。第3・4趾間では内側足底神経と外側足底神経が合流しているためストレスが加わりやすく、神経の肥厚や神経腫が出来やすいという解剖学的特性がその原因と考えられています。
身体的要因に加えて、不適合な靴(ハイヒールや足先の細い靴)を履いたりすることやスポーツなどで前足部に負担がかかることで、モートン病が発症すると考えられます。症状は爪先立ちやしゃがみこみで悪化し、安静時には疼痛はなく、靴を脱ぐだけで緩和することがあります。前足部を側方より握りしめ、中足骨間で神経を圧迫すると、足趾への放散痛が現れます。
治療は保存的(手術によらない)治療が中心となります。前足部の幅が広いやわらかいローヒールで神経への圧迫を回避し、底の硬い靴を履くことでMTP関節の背屈を防ぐことが必要です。
神経の圧迫を回避するために中足骨パッドの装着も有効です。局所麻酔薬とステロイド剤の局所注射も有効ですし、症状消失の有無は診断的な意味合いもあります。保存的治療に抵抗する頑強な疼痛に対して、神経腫の切除が行われることもあります。