疲労骨折

 骨の同一部位に力が繰り返し加わることによって生じる骨折を疲労骨折と言います。これは、金属を繰り返し折り曲げすると、ついには折れてしまう現象とよく似ています。
 脛骨をはじめ、中足骨、腓骨など下肢に起こる疲労骨折が9割以上を占めています。原因となるスポーツとしては、ランニングが約7割を占めて際だって多く、そのほか、走ることが主体の競技、跳躍動作が多く含まれる競技に多いようです。
 治療は、原因と考えられるトレーニングを休止して局所の安静を図るだけでよいのです。しかし、跳躍型脛骨疲労骨折など一部の疲労骨折では、手術が必要になることがありますので注意が必要です。下肢の疲労骨折では、ランニングは原則として禁止します。

 

腰痛

 腰痛は多くのスポーツ種目において見られます。単なる捻挫や打撲のこともありますが、腰椎分離症・すべり症、腰椎椎間板ヘルニアあるいは椎体終板障害など重要な障害を生じていることがあります。
 腰椎分離症は、小学生、中学生に好発します。屈伸や捻り動作の繰り返しによって、脊椎の骨の一部分に疲労骨折を生じたものです。同時に椎体のすべり(上方の骨が前方にずれる)を生じたものを腰椎すべり症といいます。他の疲労骨折と違って骨癒合が起こり難いので、早期に治療を開始することが大切です。
椎体終板障害も、成長期において脊椎の伸長に重要な役割を果す終板(椎体と椎間板の境界部分)が傷つく障害です。種々の脊椎変形、疼痛、時に神経障害の合併を生じます。その発生頻度は練習時間が長いほど高く、椎体成長が未熟なほど障害を被る傾向があります。
 腰痛を訴えるものの中には、このような重大な障害を生じていることが少なくないので注意が必要です。