【誤った知識】関節を捻った(捻挫)くらいは、
         たいしたことではない

 足関節捻挫の後に、何度も捻挫を繰り返して癖になったと悩む選手をよく見かけます。しかし、「捻挫が癖になっている」というのは間違いで、「靭帯が切れたままになっているために関節がグラグラと不安定になっているから捻りやすい」のです。

足関節の捻挫と靭帯断裂

 捻挫を、1度・2度・3度と3段階に分類することがあります。
 1度(軽症)は、狭義の「捻挫」です。靱帯のごく一部の線維が切れた場合で、疼痛は軽く、関節の異常な動揺性はありません。
 2度(中等症)は、「靭帯の不全断裂」です。靱帯のかなりの部分が切れ、疼痛、腫脹、内出血なども強く、関節に動揺性を生じます。
 3度(重症)は、「靭帯の完全断裂」です。腫脹、疼痛、関節動揺性が強く見られます。

 損傷の程度によって、その後の治療法が異なりますので、正しく診断することが大切です。通常のX線撮影の他にストレスX線撮影が必要です。
治療の一般的な原則は次の通りです。
1度の軽症でも、まずRICE療法を行います。その後、テーピングなどの簡単な固定材料を使用して、2週間以内で復帰は可能です。
2度の場合は、ギプス固定が必要でしょう。
3度となると、損傷部位によっては、確実な安定性を確保するために靱帯縫合手術や靱帯再建手術が考慮されます。